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Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

発電機EU9iエコスロットルでウインドエアコンを動かす 理論編

トレーラーのエアコンをコロナCW-1613に交換し、発電機EU9i(のOEMモデル)でエコスロットル(エコモード)動作させようとしたが、動かなかった。これを解決してみたい。webを検索すると、一時的にエコモードを手動解除するというトンデモ方法が書かれているが、そんな事はしない。エコモード解除の専用装置まで作った人が居るようだが、原因を理解していればもっと簡単で安全な方法がとれる。

結論だけ先に述べてしまうと、コンプレッサーの始動時に電圧低下が起き、制御回路がダウンしてしまうということが問題であり、100VA程度の超小型UPS(もしくはキャンカーのインバーター)で制御回路だけバックアップすれば問題なく動く。

発電機のエコスロットル(エコモード)とは?
コンシューマ市場のポータブル発電機はどれも、交流100Vを供給する。サイズによって、最大電流量が異なる。この最大電流量とは何なのかを少し考える。エコモード動作しているときは、最大電流量が小さくなっていて、回転数を上げる事で規定値まで最大電流量を上げる事が出来る。

まず、何も負荷を掛けない状態で発電機を回してみる。このとき発電機は、設定された最大電流量を出せる状態ではあるが、出していない。出そうとした力はそっくりそのまま、発電機自体に跳ね返ってくると言っていい。するとどうなるかというと、発電機のエンジンは何ら負荷がかからない状態で空転する。

実はこの事を理解している人が結構少ない。「作った電気はどこに行くの?」「作った電気を使い切らないと回路が壊れちゃう」というような発想をする人が物凄く多い。ぜひ、マクスウェルの電磁気学あたりをブルーバックスで読んで、誤解を解いて欲しい。

さて話を元に戻すが、負荷のかかっていない状態から、ある程度負荷を掛ける状態にすると、その負荷はエンジンに与えられる、要するに仕事を必要とする。どんどん負荷を高めていくと、仕事量がどんどん増える。そして、ある一定の、設定された最大の仕事量に達したとき、エンジンはそれ以上の仕事が出来なくなる。
仕事量(電流量)が閾値を超えてしまうとどうなるか、というと、電圧が落ちる。この事は電気よりも、水道の水圧でも考えた方が分かりやすい。蛇口をひねってチョロチョロ出している間は、水道管内の圧力は変わらない。ある程度ひねると水圧が落ち始め、全力で出そうとするとゼロに近くなる。

発電機がエコモード動作していて、回路の電圧が落ちたときは、発電機がそれを検出してエンジン回転数を上げ、最大電流量を回復する。こういった仕組みになっている。

誘導電動機
家庭用エアコンのコンプレッサーは、交流誘導電動機によって動いている。電動機はいずれも始動電流を必要とし、この始動電流が電動機の定格の数倍になる、というのは誰でも知っている。インバーター方式ではないエアコンでは、始動電流が足りないから、エコモードでは動かない、としてしまう人が多いと思う。が、それは違う。

実は、電動機は始動電流が足りなくても、動く事は動く。あんまり不足していたらダメだが電動機の定格+2〜3割の電流が取れるのなら、なんとか動き始められる。その代わり、非常にゆっくりになるが。加えて電動機には通常、大きなキャパシタが付いており、始動電流の多くはこのキャパシタが受け持っている。
なので、始動電流に関する事自体はさほど問題ではない。何が問題かと言えば、そう、発電機の最大電流量を超えてしまい、電圧が落ちる事が問題なのだ。
ただし、電圧が落ちても電動機は動く。これもあまりに落ちたらダメだが、定格値の2/3くらいであれば動く。だから、エコモードでエアコンが動かないのは、コンプレッサーのせいではない。動かない副次的要因を作っているのはコンプレッサーに間違いないのだが、動かない直接原因がコンプレッサーにあるわけではない。

制御回路
エアコンには当然、制御回路が存在する。制御回路はICを使っており、当然だが電圧の変化に敏感である。直接の原因は、実はここにある。
制御回路用の電源は、AC100Vから電源回路で作り出す。この電源回路がもし、トランスと整流器を使うものだったとすると、電圧変化にはシビアになる。スイッチング電源であれば多少入力電圧が変化したところで大した問題はないが、安いエアコンの電源回路にスイッチングが使われる事はまずないだろう。
トランスは入力した電圧に依存して出力電圧が決まるため、入力が低ければ出力も低くなる。つまり、電圧が低くなると制御回路がダウンしてしまうわけだ。

CW-1613の基板には、中央部にトランスが載っている。原因はこの電源回路にある。

この事は、掃除機等で実験すると分かりやすい。高い掃除機はスイッチング電源搭載で、電圧変動があっても動いたりするが、安めの掃除機はトランス式の場合があり、エコモードでは起動出来ないときがある。100%動くのはアナログ式の、つまり制御回路を搭載していない掃除機である。

原因特定
まとめてみよう。コンプレッサーの電動機の始動電流によって、一時的に電圧降下が起きる。電動機自体はそれでも何とか動けるし、1秒弱で発電機がエコモードから通常モードへ移行し十分な電流量が確保されるが、その間にエアコンの制御回路が低電圧の影響でダウンしてしまい、止まってしまう。直接要因はエアコンの制御基板上の電源回路にあり、その副次的要因がコンプレッサーの電動機にある、と言うことになる。

さて、原因が分かったところでどのような解決方法があるか、考えてみる。

スイッチング電源の搭載
電源回路をスイッチング電源に変更する。スイッチングにすれば入力電圧が低くなっても、ある程度までは大丈夫。だが、いくらなんでもめんどくさい。簡単ではないので×。

レギュレータの変更
トランスを出た先にある整流素子のレギュレータを、低電圧対応のものに変更する。スイッチング化することを考えれば易しいとは思うが、レギュレータICのみ交換といったわけにも行かず、恐らく別基板を作る事になる。やはり面倒。

制御回路分断
制御回路の入力電源のみ、別系統(UPSなど)から供給する。制御基板は見た感じ、トランスを境界として、リレー回路と制御回路に分かれており、パターンカットで分断することが出来るようである。リレー回路は本来のエアコンの電源、制御回路へ向かうAC100Vラインを別に設け、UPS等に接続する。

今回は、3つ目の方法で対応することにした。上の2つは部品が色々必要っぽいのでやめた。