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Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

似非科学 プラズマクラスターの特許

プラズマクラスターエセ科学だというのは、探せばあっちこっちに書いてある。だいたい同意見なサイトを貼っておく。

http://pelex.jp/plasmacluster.html

特許について

ちまたのほとんどの方は、特許という言葉に弱い。特許というのは実はとてもくだらない法手続きの一つでしかないのに、特許を取った、と言うと、あたかもそれが本当に正しい事だと信じこむ人がほとんどではないか。

特許とは、特許庁にそれっぽい文面で適当なデタラメを書き殴って送って、審査請求して審査官を騙せば取れるのだ。審査官が頭良いか悪いかで、ハネられるか通るかが決まる。

そしてそれは、学術的に正しいかどうかという根拠に使われる事は100%なく、誰かが同じような物を作って売った事に対し、法的なアタックをするときの証拠にしかならない。

特許の取り方

特許を簡単に取る方法に、ニコイチ、というのがある。まったく違う分野の2つの現象を無理やり繋げて、ハイ発明しました、と主張するやり方である。

ちなみに、2つの分野のうち、片方は曖昧な分野がいい。生体が関わるものとか、液体や高分子など物理的性質を把握しづらいものとか。

生化学の酵素反応とか、微生物の増減とか、粘弾性体の温度圧力依存性とか、量子関係のポテンシャルとか、現代科学でよく分かっていないような分野を持ち出すと、審査官を騙しやすい。

もう片方の分野は、理論や実験データでガチガチに固められる分野がいい。電磁気学無機化学、物性物理あたりの各応用学問か。このガチガチに固まった分野の方を主軸に打ち出した発明名称や要約で特願すると、シソーラス的にそっちの審査官が割り当てられる。

もちろんコイツはさっきの曖昧分野についてはド素人だから、適当なデッチ上げの実験データで誤魔化せる。中には偶然どっちにも精通した審査官が居て、曖昧分野を派手に既存文献出しまくって新規性を疑ってくる場合もあるが、まぁ滅多にない。

一発拒絶査定が来て、意見書出して面談でもやれば、審判までやらずに権利化出来てしまうケースが多いと思う。

プラズマクラスターの特許

IPDLで特許番号入れて、PDFで落としてきて読んで欲しい。
特許文献を見慣れてないと、どこに何が書いてあるか分からないはずなので、簡単に解説する。

まず最初の方に、請求項というのがある。これは、どういった内容を特許として認めてもらうか、である。
次に発明の説明が来る。これは何をやってどのような結果になったか、という説明。

この説明の後半に、実施例というものが来る。実際にやった実験内容を書くものだ。
実施例と似たものに、比較例が存在する。実施例は実験が上手く行って請求項を証明出来る内容、比較例は上手く行かず請求項を証明出来る内容を記述する。表を使って書く場合が多い。

ベストデータ臭い実験結果

私がちょっと変だと思うところは、内容説明の30項に、N数が書かれていない点が一つ。N数、つまり実験回数は有意差検定を行う際に必須な項目で、普通なら「尚、N数は10とし平均を示した」等と書く。書かれていないのはどういうことか。恐らくではあるが、この実験はベストデータを値として採用している、ということを意味する。

ベストデータとは何かというと、実験を5回やったとして、結果が、1,2,3,4,100であったら、100を採用する、という事だ。なんかの理由で偶然とてもいいデータが出る時があり、普通、そういう結果は弾くのだが、特許出願の場合、審査官が疑問に思わなければそれまでなので、ベストデータで構わない。「平均を取りました」と書いてその値がウソであれば、検証実験をやった他メーカーから告発されるケースもありうるが、ベストデータであれば、余程ありえない数値でない限り「本当にやったら偶然かもしれませんがこの値が出たんです」と言い逃れられる。

論文や学会発表の場合はボコボコに突っ込まれるネタだが、特許だと相手は審査官一匹だけなので、見逃されるケースも多い。

MAXで20%の効果

次に、48項。イオンを送出しない場合でも、1時間後の浮遊細菌の残存率は63.5%と、4割近くも減っている点。初期濃度誤差は10%あるので、-10%換算すべき。つまり、1時間後に53.5%以下になっていれば、一応効いていると言える。

それを踏まえて、第一形態、36項。1時間後の残存率は100-(60+68)/2=36%。ない場合とくらべて17%くらいの効き目?
第二形態、なんとイオンの個数しか書いてない。
第三形態、56項。1時間後に100-(56+58)/2=43%。同じく効き目は10%。
第四形態、61項。1時間後に100-(63+70)/2=33.5%。20%の効き目。
第五形態、65項。1時間後に100-(58+60)/2=41%。10%ちょい。
第六形態、書いてない。

なんか、3時間後には減ってる、とか書いてあるけど、3時間後には自然に消滅してる数が結構多いんじゃないだろうか。1時間後の値では、プラズマクラスター置いたときと置かないときで、最大20%の違いしかないらしい。

まとめ

シャープが強く押している特許の中身がこれ。

縦2m、横2.5m、高さ2.7mの強烈に狭い部屋で1時間回して、自然減少の1.5倍の除菌力。しかもベストデータの時であって、平均値は不明。これがプラズマクラスターの力である。