Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

量子テレポーテーションを簡単に説明してみる

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130815-OYT1T00283.htm

完全な「量子テレポーテーション」に初めて成功

ということで、テレポーテーションなんてSFチックな名前が付いてるので、勘違いする人が多いような気がする。

私の専門はいちおう有機化学なので(最近は材料科学しかしてないが)、量子テレポーテーションとは何か簡単に説明してみたい。

電子のスピンの話

物理や化学系の学科に進まなかった人は、高校レベルの分子軌道の知識しか持っていないはずなので、ピンと来ないかもしれない。
ただ、理科が得意だった人は「K殻L殻M殻・・・にはそれぞれ入る電子の数が決まってる」というような話に聞き覚えがあると思う。

物理や化学方面の学科にいくと、その事をさらに詳細に考える機会がある。原子にはS軌道P軌道D軌道・・・という電子の軌道が存在し、それらが複雑に絡み合って分子を作り、その軌道の形状と原子の種類によって様々な特性の化合物が生まれる、と教わる。

さらに量子論を学ぶと、それらの軌道は同心円ではなく、原子や分子の周囲に一定の確率を持って存在している事を知る。電子は原子核を中心にして回っているわけではなく、分子の周りを漂っている、と表現すると分かりやすいと思う。

これはそこらへんに落ちてたのを拾ってきた画像だが、青や赤になっている部分が電子の軌道(分子軌道)で、この分子はメタンだがこういった軌道が電子の個数の半分ある。ちなみにメタンの場合、炭素が1個で水素が4個なので電子の数は10個、軌道の数は5個になる。

1つの軌道には2個の電子が入るが、電子は様々なエネルギー状態を持っており、その中にスピンというものがある。スピンとはイメージ的には右左どっちかに回っている(自転してる)ようなもので(正確には電子のようなフェルミ粒子では上下だが)、回ってる向きが2つしかないので、状態も2つしかない(運動量の違いを考えるといっぱいあるが)。向きの事をスピン量子数などと言う。

さらに、パウリの排他原則というのがあって、1つの軌道に入る2つの電子のスピンは必ず逆向きである、という事が分かっている。
http://homepage2.nifty.com/einstein/contents/relativity/contents/relativity223.html
ちなみに、量子論はベクトルを描けないので、スピンの向きを考えようとすると量子力学になる。

つまり、同じ軌道に存在する2つの電子の片方のスピン向きが分かれば、もう片方は調べなくても分かる、というのが量子テレポーテーションの原理である。

すごく大きな分子1個の両末端に分子軌道があるようなものを選ぶと、片方の末端の状態を見れば、もう片方の末端の状態が論理的に分かることになる。

光子のスピンの話

光子というのは、ものすごく簡単に言うと、電子の表面にくっついてて、衝撃を受けると電子からポロっと取れて飛んでくような粒子である。
電子にくっついてる間は電子の性質そのままで(というか現代科学ではよくわかっていない)、電子のスピンと同じスピンを持っているらしい。ポロっと取れると電子とは別のスピンを持つようになる。

あとは勝手に想像。ネイチャーは会社で読んであとで追記するとして、軌道電子ならともかくオソトに飛び出した光子のスピン量子数をどのように使うんだろう?

素人考えでは、スピンの異なる2つの電子を励起して光子を出させると、双方の電子のポテンシャルに影響された光子が出来て、それぞれ別の光路に導いて別の場所でスピンを観測するんだろうか?、などと思いつくが、本当はどうなのか。