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Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

ノーベル賞のランク

今年度のノーベル化学賞が計算化学の3人になったらしい。一応私の専門に近いので、少し書いてみたい。

http://sankei.jp.msn.com/science/news/131010/scn13101000050000-n1.htm

まず、この受賞は分子力学法についてである。分子力学法とは何か、について触れる。

現在における計算化学の手法は、大きく分けて二つ、分子軌道法(MO)と分子動力学法(MD)になるが、分子力学法はどちらにも当てはまらない。

MOは、分子内部の構造や性質をシュレーディンガー式を解いて求める方法。
MDは、分子同士が作り出す性質をニュートン力学で求める方法である。

一方の分子力学は、原子種における特性を利用して分子構造を求める方法であり、現在はMOがその役目を負っている。分子力学はまだコンピューターが未発達だった当時、シュレーディンガー式を総当りで解くには不十分過ぎた時代に、その代用として使われたものだと言って良い。現在では、積分などを近似値を使わずに総当り計算する非経験的分子軌道法ですら、原子の数が100個かそこらなら、家庭のパソコンでも十分に計算出来るようになった。スパコンを使えば数百万原子の巨大分子やポリマーについても計算出来るだろう。

今回の受賞については、方方から異論が出ている。確かに70年代、分子力学は画期的な手法ではあった、が、40年後の現在では廃れてしまったものだ。iPS細胞のようにリアルタイム性はまったくない。科学系のノーベル賞は受賞者が存命であれば発明発見の年代は度外視する傾向だからしょうがないが、それにしても古過ぎないか?というのがその理由だが、私も同じように思う。

ノーベル賞のランク

科学系のノーベル賞にはランキングが付けられると思う。

基礎の基礎に当たる発見の功績であれば、今後の多大な発展が見込まれるため、これはAランクだ。マックス・プランクとかアルベルト・アインシュタインとか、日本人では湯川秀樹あたりがヒットする。

Bランクは基礎ではあるがAに比べるとしょぼいもの、例えばディールス・アルダー反応のオットーディールスとクルトアルダー、核分裂のオットー・ハーン(この件でリーゼ・マイトナーについて以前少々書いた)、あるいは先日のiPS細胞の山中伸弥あたり、マリ・キュリーなんかもここだろう。

これより下のランクは、正直なんか意味あんのかこれ・・・というのが多い。ATP合成のボイヤーとか、野依良治とか、下村脩とか。確かにその分野だけで見ると偉大なのかもしれないが、専門の教科書の片隅に載るかどうか程度の発見にノーベル賞ねぇ・・、なんか安売りしてない?って気分になる。今回の分子力学もCか、あるいはDか・・・。

一方で、Aを超える発見には期待している。Sクラス、あるいはSSSクラスというのもあってもいいんじゃないだろうか。

液体状態方程式を作ったら、これはまぁSクラスだろう。気体は気体状態方程式、固体は結晶であればX線回折で物性予測出来るが、液体についてそんなものはない。物理的特性はレオロジーである程度予測出来るものの、気体や結晶性固体に比べるとあまりに貧弱だ。液体状態方程式がもし作れれば、液体を共振させて爆弾化するとかいうトンデモ兵器が出てきそうだが。

電子を観察する方法、これがもし発見出来ればSSSクラスだ。ここ100年の量子力学がゴミになる。ハイゼンベルクはアホ呼ばわりされて消える。こういうのを私はプロヴィデンス・ブレイカーと呼ぶが、その件はいずれ。