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Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

Interfacial thermal resistance

正月休みを直前に控えていた12月のとある日、社内的な研究発表会があった。運悪く発表者にされてしまっており、散々悩んだ挙句に界面熱抵抗のお話をしてみた。

意外と好評で准優秀賞を貰った。大して煮詰めてもいないネタをダラダラと発表した割には良い結果だった。

界面熱抵抗、英語でいうとInterfacial thermal resistanceというが、どんなものか簡単に述べてみたい。

熱抵抗というのは簡単に言ってしまえば熱伝導率の逆数で、単位としてはK/Wを使う。実際には熱伝導率がW/m・Kだから分母のm(面積ではなく厚さである)を消さなくてはならず、膜厚を熱伝導率で割るような計算をする。

一般的な熱伝導率はバルクのものであるため、その熱抵抗を求める事は簡単だが、2つの物質が接している界面の熱抵抗というと、そう簡単には求められない。

2つの物質の熱伝導率が比較的高ければ(おおよそ100W/m・K以上)、T3Ster(トリスター)のような実デバイス向けの測定器を使って直接求めてしまえるが、樹脂のような1W/m・Kにも満たない(おおよそ0.2とか)ものの測定には向かない。

そこでどうするかというと、フラッシュ法を用いて、界面を持つ2層構造試験片の片方のバルク熱抵抗を求め、これを膜厚毎にプロットしてやって、チャートを外挿してバルク膜厚0のときの熱抵抗を求める・・・というような操作をする。

試しに、とある熱可塑性樹脂と金属の間の界面熱抵抗を計算してみた。

なぜ熱可塑性樹脂を使ったのか、といえば、分子のネットワーク構造が単純だからである。熱硬化性樹脂(エポキシとか)を用いると、骨格が三次元的であるために、架橋点間分子量での比較・・・なんて事しかやりようがなくなって面倒だ。

これは以前、樹脂バルクの熱伝導率を分子骨格的に考えてみた(実は損失弾性率と関係がある)際に散々計算して嫌になった事がある。その話はいずれ。

その点、熱可塑性樹脂であれば、直鎖状のものを選べるし、分子量も均一なもの(例えばGPCの標準試料とか)を入手して比較できる。

報告内容にはN=5の実験を書いたが、線形近似式の端数がマイナスになるなど、N数がぜんぜん足りなかった。ベストデータだけ採取すると結構まともなチャートになるが・・・。

傾向としては、分子量と界面熱抵抗は反比例関係にあるようだが、これは熱拡散率の影響ではなく、比重(密度)の影響が大きいようである。なぜそんな事になるのか、なんとなくイメージは出来るが確定的な話はまだまだ。