Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

インシュレーターと音速

デスクトップのスピーカーに、これまではSONYのSA-PC5というパワードスピーカーを使っていたが、これは直置きで、あんまり音質は気にしていなかった。買い替えの折に少し気取ってみようかと、インシュレーターについて少々考えてみた。

スピーカーのインシュレーターの役目とは何か、考えてみよう。

音、または振動というのはエネルギーであるため、高い方から低い方へ流れる。このとき伝達経路に、スピーカーの材質よりも音速の高いものがあれば、当然そちらに流れやすい。逆に低いものがあれば、そちらにはあまり流れない、というのが一般論だ。

空気の音速は固体や液体に比べると遥かに低く、効率が悪い。コーンの振動は空気よりも、スピーカーのキャビネットやインシュレーターのような固体に伝わりやすい。スピーカーの役目は振動を空気に伝える事だが、振動エネルギーの多くは空気ではなくキャビネットを通して机などに伝わってしまっている。

つまりインシュレーターの役目は、振動をキャビネット外に伝えないようにする、技術的に言えば振動エネルギーをキャビネット内に封じ込め、より空気に多く伝えられるようにする、エネルギー効率を上げる、ということになる。

そこで考えられるインシュレーターの素材としては、音速の遅いものが良い。これはスピーカーのコーンの設計とはまったく逆の論理になる。

さて、固体の音速は一般に、√(弾性率/比重)で求められる。弾性率とは物体の硬さ、比重は原子の密度の事だが単に重さだと思ってもいい。一般に同体積で重い物は比重が大きい。

つまり柔らかくて重い物がいいということになるが、市販のインシュレーターはなぜか、あんまりそういうものが使われていない。

金属なら、鉛>金>銀>真鍮>銅>>>>鉄>>>>アルミ、となるので、鉛使えば良いように思うが、アルミだの鉄だの硬くて軽いものばかり使われている。規制の関係で使えないなら、せめて真鍮にすべきだろうか。

真鍮よりは高い音速のものとして木材があるが、スピーカと同じ材質のため、これはパス。プラスチック類は一般に密度が低く比重が小さいので(といっても1以上はあるが)これもパス。比重を上げるのに金属や酸化物とのハイブリッド(本当はコンポジット)にする手もあるが、それなら金属使った方がいい。

と考えていくと、単純な固体ではなかなか難しいことが分かる。

市販品には、ゴムを使ったものがあるが、これはゴムそのものよりも、内包される気泡(ボイド)の音速が低いため、そちらを利用している感が強い。

この考えでいくと、意外と使えるのが発泡スチロールだ。発泡スチロールの問題は、それ自体が大きいと、非常に軽い点が災いしてそれ自体の共振が起きやすい点にある。

なら、千切って小さくして使えばいい。梱包材で入ってくるサラサラ等が適当かもしれない。軽いスピーカーならこれで十分支えられる。
サラサラと同じようなものにプチプチがあるが、接地面を考えると、不定形のサラサラがベストか。完全に面で支えるような均一構造は多くの振動を受けて共振する可能性が高くなるからだ。

見てくれは非常に悪いが、コストパフォーマンスと性能は大変良いインシュレーターの出来上がりである。