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Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

怪しさMAX量子電池 ホントは単なる太陽電池

またエセ科学かー!とか叫びたくなる自称二次電池の量子電池。
蓋をあけてみると単なる量子ドット太陽電池だった。

とりあえずパテントを読んでみる。

ググるとすぐに出てくるこれ。
https://www.google.co.jp/patents/WO2012046325A1

なんでPCT出願なの?

まず、すごく気になる点が「なぜPCT出願なんだろう?」ってところ。PCT出願というのは国際出願の一つで、特許協力条約を締結してる国家間に同時に出願出来るという便利な出願方法。

ただし、日本の特許庁に出す特許出願は、PCT出願ではダメ。あくまで海外出願の一つなので、日本へは普通に出さないといけない。

ちなみに日本の特許審査はとても厳しいので、怪しいのは弾かれる。

なんで早期審査してないの?

次に気になるのが、「グエラテクノロジー株式会社」の特許出願方法。日本の特許庁には2件の出願(たった2件)がある。PCTで20件もやってるくせに。

さてこの会社は資本金2000万円足らずで、いわゆる中小企業法が適用される会社規模。
中小企業法範疇の企業には、早期審査という大変便利な審査請求が許されている。

早期審査とは、出願した特許が公知になる前に審査請求を行う事が出来る。つまり普通なら

出願→公開→審査→権利化

という流れになるところ、早期審査請求を使うことで

出願→審査→権利化と同時に公開

という技が使える事になる。これは「重要な基本特許を出す場合、非常に有効な手法」であり、他社の追従を許さない画期的な方法でもある。

ところがグエラテクノロジーはやっていない。普通に広報に載るまで待っている。オマケに審査請求もしていない。公知にしただけで審査請求しない特許というのは何かというと

確実に拒絶されるような内容

のものである場合に多い。

内容はイミフ

量子ドット太陽電池半導体キャパシタの概念をぐちゃまぜにしただけ。
請求項を読んでみる。

【0066】
 本発明では、p型金属酸化物半導体とn型金属酸化物半導体がpn接合をしているが、
n型金属酸化物半導体は、二酸化チタンを紫外線により光励起構造変化させ、バンドギャ
ップ中にエネルギー準位を形成しているから、バンドギャップ以下のエネルギーによる光
照射で、電子がエネルギー準位に注入される。この過程により光を照射した場合でも、図
10(A)で示したような、電源を接続したと同様の効果が発生し、充電層に電子が移動
し充電する。光を照射する場合は、電極が透明であることが必要である。ITOは、透明
な電極材料であり、光充電する場合に適している。

光励起構造変化って何?オリジナル造語?それを言うなら「光誘起相転移」でしょ。「れいき」と「ゆうき」を読み間違うような人が書いた特許。これはひどいかも。

さて、ツッコミどころが多いのでちょっとずつ。

>二酸化チタンを紫外線により光励起構造変化させ

酸化チタン光触媒活性を持っていて、バンドギャップが比較的高く、ワイドバンドキャップに分類される。光励起構造変化なるものは恐らく光誘起構造相転移の事だと思うが、光誘起構造相転移が結晶構造の変化で永続的な物であるのに対し、光触媒活性はは光を当てているときにのみ起こる現象である。

つまり、あくまで光あててるときだけ導体特性が現れる。この仕組を利用した実在の技術としては、量子ドット太陽電池というものがある。

ちなみに二酸化チタン結晶は光誘起構造相転移など起こさない。

>バンドギャップ以下のエネルギーによる光照射で、電子がエネルギー準位に注入される。

うそ。光触媒半導体特性を持てるのは、バンドギャップエネルギー以上のエネルギー準位を持った光があたったときだけ。エネルギーギャップ以下の光照射では、酸化チタンは単なる絶縁体である。

もし光誘起構造相転移によって二酸化チタンが導体特性を永続的に持ち得たとしたら、電子は電位の低い方に流れるから、一方向だけに流れるわけではなくなってしまう。つまり充電は出来なくなる。

>この過程により光を照射した場合でも、図10(A)で示したような、電源を接続したと同様の効果が発生し

これは量子ドット太陽電池の説明。実在の技術、ただし電源を接続しても、光を当てていなければ電流は流れない。二酸化チタンは単なる光触媒であって、光誘起構造相転移など起きない。

あのペラペラの薄い実物は・・・

量子ドット太陽電池。光があたってるときだけ、電気流れるもの。
Youtubeのムービーも、前にぶら下げた太陽電池でモーター回してるだけ。

まとめ

光誘起構造相転移と、光触媒活性をぐちゃまぜにして素人を騙した特許だろう。
特許文献の中には測定方法などが一切書かれておらず、まともな技術者が実験したとは到底思えない節も多い。

光励起構造変化・・・だとかオリジナル造語で特許審査請求かけたら、審査官も大笑いするかも。