Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

小保方の博士論文

ちょうどエセ科学云々で論文の事に触れたから、タイムリーな小保方の博士論文にちょっと考察を入れてみる。

http://www.j-cast.com/2014/03/12199052.html

ここらへんのサイトの話を見ると全貌が分かるが、20ページコピペについて文系の教授にあり得るか訊いたら「ありえない」との返事だったとか。

私としては、ふーん・・別にいいんじゃないの・・くらいにしか思わない。


前にちょっと触れたかどうか忘れたが、論文やパテントの文章は、序論や動向や既存研究、あるいは評価方法についての内容を全部書くのがめんどくさいので、適当に他の文献からパクって来る事がある。もちろん研究内容の本筋に当たるテーマや実験自体はパクらない、そこをパクったら完全に盗作だから。

パクるとコピペ

とはいえ、「パクる」というのは「コピペ」ではない。元になった文献に書かれた内容を自分の言葉で言い換えて書く、ということだ。

例えば、装置をどのように用いたか、という内容だったとしよう。

環境加速試験をやるのにエスペックのSH221で85℃85%Rhの環境で250h放置したとする。これはJEDEC規格で一般にレベル1と呼ばれるもので、加速試験の一般的な手法だ。他にも60℃90%Rhや30℃90%Rhなどがあり、さらに高加速にするならHAST装置を使って120℃85%Rhとか、試料の濡れも気にしないならPCT試験(特許のPCTじゃなくて飽和水蒸気)というのもある。

他にも例えば、固形試料の断面解析を行うのに、クロスセクションポリッシュ法を使ったとする。一般には日立とJEOLの装置が有名だが、まず試料を適当な大きさに切断して試料台に固定して、カッターで平滑面を作って5kVのアルゴンイオン流で3hポリッシュした断面に、カーボンコートを行ってからフィールドエミッションSEMで何倍にして観察した云々。

この手の内容を事細かに書かなくてはならないとなると面倒だから、既存の適当な文献から引っ張ってきてチョイチョイと書いてしまう。
やった内容は、基本に則ったものであったり、JEDECやJISの規格に入ってたりするような内容だったりで、調べて書くのもなんだから、あるものは利用してしまえ・・・で使ってしまう。

コピペではなく、あくまで自分の文章であるのなら、これは別に構わないと思う。
コピペすると盗作になるので注意だろう。

ザル審査

博士論文の審査で気付かなかったのはオカシイ、云々について。

審査する側も暇ではないから、先に述べたような一般的な内容については読み飛ばす。斜め読みではなく、完全にすっ飛ばす。読むのはテーマと実験と結果について、ひどい時にはグラフと図しか見ない、なんてときもある。気付かなくて当然だ。文系はどうか知らないが、理工医薬はそんなもの。

さらに、名誉の問題というのも絡んでくる。

論文博士が単独で書いたものならともかく、多くの博士論文は(学部の卒論よろしく)指導教官が明確にいる。学部だと助教や准教授が指導してたりするが、院、それもドクターコースは普通、教授が指導者になる。その教授がOKとしたもの(教授はグラフと図しか見てなかったり・・)、あるいは共著者に教授自身が載ってたりする場合はもっとだが、審査者ごときがイチャモンつけようものなら、教授の名誉の問題になってくるわけだ。変なとこちょっと見つけたくらいだったら、まぁいいか、で終わらせてしまう事も多い。

名誉を傷付けた奴がどうなるか?事ある毎にイジメられる羽目になる。教授同士なら、教授会で因縁付けられるだの、学会賞外されるだの参加してない研究会で悪口言われるだのセクハラ噂立てられるだの、教授同士の確執に発展しかねない問題になる。ここらへんは国際的に事なかれだ。

結果的に、右から左へ通過していって、執筆者がドクターになって一件落着。おめでとうございますな感じ。


小保方が散々叩かれてるが、私としては「あれくらい普通じゃないの」的な?まぁ、コピペは不味かったと思うが。