Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

知ったかぶりのガラスコーティング その2

展示会でシリカの表面処理材料見ていたら、ポリシラザン作ってるメーカーの人としゃべる機会があったので、以前ちょっとネタにしたガラスコーディング剤の話を色々訊いてみた。
なかなか面白い話も聞けたので、もう一度ネタにしてみようと思う。

2つあるガラスコーディング

ガラスコーディングと呼ばれるものには大きく分けて二つある。

・ シリコーン
シロキサンの重合によるもの。ジメチルシロキサンの重合物は、シリコンゴムやらシリコンオイルなどと呼ばれる。重合方法は末端基シラノールとして脱水縮合が多い。メチル基による水素結合で被着体への馴染みが良く剥がれにくい。有機ガラスコーティングとか呼ぶ人もいる。オルガノポリシロキサン云々というのはこれ。外部に露出するのがメチルのため疎水性があり、水を弾く。ワックスいらずというのも高評価で、現在の主流。

・ ポリシラザン
骨格SiNが水で酸化されてSiOになるというもの。反応式的にはR-SiH2NH-R + 2H2O → SiO2 + NH3 + 2H2。アンモニアと水素が飛んでってSiOだけ残る。本来のガラスコーティングというのはこれ。無機ガラスコーティングとか呼ぶときもある。パー(ペル)ヒドロポリシラザンという化合物が原料。SiOのみなので塗膜の弾性率は高く、割れやすい。また有機性基がないので密着性も悪く、衝撃でポロポロ剥がれる。親水性のため撥水もない。ガスバリア性はシリコーンより高いので、防蝕や防湿には有効。現在は被着体への馴染み等を目指して有機性基導入してあるものが多いぽい。

コーティング屋によっては、ポリシラザン使う手法こそ本物のガラスコーティングだ〜とか馬鹿抜かしてるが、塗膜自体の強度(弾性率的に)や無機物由来の経時耐久性、耐熱性などなどは高くとも、被着体との相性が悪いので剥がれたり割れたり(飛び石なんか食らうとやばそー)するので、シロキサンに比べると総合的には弱い。

塗料の架橋性樹脂

あと、塗装関係の架橋性樹脂についてまとめておく。熱硬化性樹脂という呼び方もあるが、シアノアクリレートやイソシアネートのように熱関係なく固まるのもあるので(熱で加速はされるが)、架橋性樹脂と呼ぶ。業界ではそんな呼び方あんまりしないので注意。
重合方法としてはイオン重合とラジカル重合が主流。ラジカルの方が早く固まるが架橋度が低く官能基がたくさん余るので強度的には弱くなる。

・ アクリル
末端基をアクリルやメタクリルに変性した樹脂やアクリルメタクリルのモノマーを重合させる。ダブルボンドが開いて重合する。活性化エネルギーが小さいのでソッコーで固まる反面、反応の選択性が低く、骨格変性以外では余計な事をしづらい。モノマー希釈という独特な方法を採れるため、溶剤希釈の多い他の樹脂系に比べると低粘度化しやすい。

・ ウレタン
イソシアネートを水酸基で縮合重合してポリウレタン化するのが多い。イソシアネートは活性化エネルギーが低く反応エネルギーの大きい不安定なブツなので、常温でもビシバシ固まる。水酸基以外の活性水素基でも固まるので、エポキシのようにアミンや無水酸やイミダゾールでもトリアゾールでもまぁなんでも。ウレタン骨格自体にエステルがあるので加水分解されやすく、耐候性は低い。

・ エポキシ
末端をエポキシ変性した樹脂を重合させる。エポキシ環を活性水素で開いてから重合させるイオン重合が主流で、アクリルやウレタンに比べると遅え。その代わり反応選択性が高く(活性化エネルギー高いから)、余計なものを大量にブチ込んだり硬化剤当量比をメチャクチャにしてもとりあえず固まるので遊びやすい。

代表的なのが以上の3つ。クルマの塗装はアクリルとウレタン。とにかくサッサと固まって欲しいというのと、屈折率的にどーとか、塗膜外観がどうとかそんな理由。
で、この2つを使った場合問題になるのが、骨格中のエステル。加水分解されてボロボロになるのが目に見えている。そこで、水の影響受けなきゃいいんだろ、ってことで始まったのがクルマのコーティングの類。