Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

ガス給湯器vs石油給湯器のコスパ

一般に、石油給湯器(温水器)はランニングコストに優れ、ガス給湯器(温水器)はイニシャルコストに優れる、という。どの程度の違いになるのか考えてみる。

石油給湯器

灯油価格を配達として、新潟地域の現在の価格が、18リットルあたり2297円(税込)になる。税別にして1リットルあたりに直すと116円となる。灯油は1リットルあたり34.9MJなので、密度0.81kg/Lを換算して1kgあたりに直すと43MJ、143.21円になる。1MJあたりにすると3.33円。

給湯器は、価格comで見てエコフィールのオートで一番安いのが OTQ-C4706SAY BLで154800円だ。リモコンやら設置費用はガス温水器と変わらないので考えない。灯油タンクやら灯油配管費用についても考えない。

ガス給湯器

ガスはLPガスで考える。LPガスの価格は本当にピンキリなので、ウチの場合を基準にする。消費者協会経由で契約したので410円(税別)/m3である。基本料金は1500円/月だが、ここでは60m3ほど使ったと仮定して単価換算すると435円(税別)/m3となる。LPガスの発熱量は50MJ/kg、1.99kg/m3で考えると、1kgあたり218.59円、1MJあたりにすると4.37円。

給湯器は同じく価格comで見てエコジョーズのオートで一番安いのが GT-C2462SAWX-2 BL 24号、72800円だ。

給湯器の価格差異

給湯器の価格は、ガスの方が圧倒的に安く2倍以上違う。金額にして82000円。高価格なガス温水器もあるが、これは除菌機能などの付加価値があるだけで、石油給湯器にはそういったものがないため考慮しない。
1MJあたりの価格差は1.04円のため、78,846MJ(GJと書きたくなるが)使ったところで、石油とLPガスのトータルコストが逆転する。灯油の量で考えると2259.20リットル。

2.7年以上長く使えれば元が取れる?

1ヶ月あたりの灯油の使用量は下記のサイトによると60~80Lくらいだそうなので、仮に70Lとすると、32ヶ月つまり2.7年分多く使う事で元が取れるということになる。ガス給湯器よりも石油給湯器の方が2.7年分長持ちしてくれなければならない。

注意しなければならない事は、2.7年使ったら石油温水器の方がコスパが良くなるというわけではなく、上積み分を燃費の差額でペイする期間が2.7年ということだ。ガス給湯器も石油給湯器も、15年くらいは平気で使えるもの(中和器の交換などメンテはあるにしても)なので、壊れるまで使って交換となった際に石油給湯器の方が2.7年以上長く使えた、とならない限り」ガス給湯器の勝ちである。ここらへんは言葉の綾だが、石油給湯器を推す輩がよく根拠としがちな話のため、注意して聞かなければいけない。
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都市ガスでは灯油の完敗

ここまで、LPガスを基準に考えてみた。では都市ガスではどうだろう?13Aの発熱量は45MJ/m3で、密度は2.25kg/m3だそう。価格は従量で基本料金が変わる制度(新潟市北陸ガスの場合)で、使用量が少ないほど従量単価が高くなるシステムだが、ウチではだいたい120m3/月ほど使っているため、その場合の料金を見ると154.4円/m3だ。1MJあたりに直すと3.43円となり、石油との差は0.1円になってしまう。

0.1円程度で8万円弱を埋めるには28年も掛かってしまう。ガス給湯器は10年で壊れたのに灯油給湯器は38年使えた、なんて事はあり得ないため、ガス給湯器の勝ちである。

灯油タンクの話

200リットルのホームタンク(寒冷地では490リットルとか平気で置いてあるが)を設置した場合の費用は、本体が6万円で工事費が5万円程度だろうか。これは30~50年は平気で使えるモノなので今回の話には加えなかったが、新設するとなればイニシャルコストはさらに増大する。1台目の灯油給湯器ではペイ出来ず、2台目でようやく、なんてことにもなりかねない。

まとめ

ざっと考えてみたが、ランニングコスト差は確かにあるものの、イニシャルコストをペイするには相当な時間が掛かるとともに、給湯器の耐用年数次第ではペイ出来ない可能性もある。