Lattice in the Lettuce

The monologue of a scientist.

答弁書を偽造したらどうなるんだろう?

ふと思った。

答弁書とは

答弁書とは、民事訴訟で被告側が提出する書面である。

民事訴訟の手順は次の通り。まず、原告側が訴状を書いて裁判所に提出する。裁判所は、内容が書式に則っている事を確認して受理する。で、原告が提出した訴状の写しを被告に送付する。被告は訴状を受け取ったら、指定されている期日までに答弁書というものを提出しなければならない。出さないと問答無用で原告勝訴になってしまう。

答弁書の内容は、事件について認めるかどうか、認めないなら訴状のどの部分を認めないのか、被告としての見解はどうなのか、などを書く。これを書いて原告と裁判所宛に送る事になる。何らかの事情で原告に直送出来ないときは裁判所に送る。

この答弁書というのは面白いもので、いろんなルールがある。

  1. 訴状の内容を全部認めると書いてしまうと、第一回口頭弁論で結審して、即判決が出る。原告勝訴である。但し、損害賠償請求事件の場合、求めた額が全額認められる事はまずない。
  2. 第一回口頭弁論は、答弁書を提出していれば欠席可能。答弁書を出さないと欠席裁判となり即判決が出てしまうが、答弁書を出してあれば、その内容を陳述したものとして認められる。これを擬制陳述と呼ぶ。なお、地裁では第一回に限るが、簡裁では二回目以降も擬制陳述出来る。
  3. 答弁書の提出期限は第一回口頭弁論の1週間前くらいだが、実はこれは目安でしかなく、第一回口頭弁論が開かれる日までに裁判所に到着してればOK。
  4. 送ってしまった答弁書を訂正したいなら、もう一度送ればいい。後から提出した答弁書が採用される。

ルールは他にも多々あるが、問題はこの4つのルールだ。このルールを逆手に取ると、

  1. ムカつく奴を被告にして、適当なイチャモンで訴状書いて本人訴訟(弁護士を使わない訴訟)を起こす。ポイントは損害賠償請求額を「弁護士立てたら損する額」にしておく事。まぁだいたい弁護士費用はコミコミで50万くらいなので、請求額は40万以下あたりだろうか。
  2. 被告は「なんだこれウソだらけじゃん!答弁書で否定しまくるわ!」となる。しかし弁護士使ったら損なのはサルでも分かるだろうから、本人訴訟になるはず。
  3. 普通は提出期限までには答弁書送ってる。
  4. 第一回口頭弁論ギリギリに、原告が偽物の答弁書(全部認めますな内容)を裁判所に送る。答弁書はもちろん手書きじゃなくてもOKだし、ハンコ押すけど三文判でいい。郵便局の窓口やFAX番号などでバレないように、監視カメラとかない場所のポストに投函。
  5. ま、普通被告は第一回口頭弁論は欠席するはずなので、偽物答弁書が採用されて擬制陳述で原告勝訴。出席してたらこの時点で「ハァ?ナニコレ」になるが。
  6. 判決が被告に(原告にもだが)郵便で届く。

まぁ被告は当然「俺は認めてねえ!」となって不服申立てになるだろうが、偽物の答弁書を誰が出したか、もちろん原告しか居ないわけだけどその証拠はないし、被告がその答弁書を送っていないという証拠もない。消印が被告の近所の郵便局だったら尚更だ。一体どうなるんだろう?とふと思った。

ググってみたけど

私みたいな素人がふと思いつく程度の事だから、過去にそういう事例はあるだろうなとググってみたけど見つからない。まだ起きたことのない事件なのだろうか。